
中小企業仲間の「みらいらすLabo」で一緒に活動しているメンバーのひとりに、トロンボーン奏者としても活躍されている方がいます。
本業は、ビルのエレベーターや内装工事を手がける会社の社長。そんな日常とは別に、社会人演奏家としてコンサートホールやライブハウスで、ジャズやクラシックの演奏を続けておられます。
その活動の一環として、介護施設でのコンサートも自主的に開催されており、音楽を通して多くの方に活動を届ける取り組みをされています。
今回私は、記録係としてその現場に同行させていただきました。
雑誌の撮影ではあまり訪れることのない場所だからこそ、どんな空気で、どんな時間が流れているのかを、自分の目で確かめたいという気持ちもありました。
撮影を始めてすぐに感じたのは、「写す対象」だけではなく、「場そのもの」がゆっくりと変化していくことでした。
演奏が始まる前はどこか静かで整った空間が、音が重なりはじめた瞬間、ふっと柔らかくほどけていく。
その変化は劇的ではなく、とても静かで、けれど確実に空気の質が変わっていくような感覚でした。
レンズを通して見えてくるのは、演奏者の姿や聴いている方々の表情だけではありません。
視線の揺れや、手の動き、わずかな身体の傾き。そういった小さな反応の積み重ねが、その場に流れる時間の豊かさを物語っていました。
特に印象的だったのは、「誰かのために届けられる音楽」が持つ力です。
大きな舞台とは違い、距離の近さゆえに生まれる呼吸のような一体感があり、その場にいる全員で時間をつくっているような感覚がありました。
写真は一瞬を切り取るものですが、その奥にある時間の流れや、言葉にならない感情の動きまで、どこまで写し取れるのか。
そんなことを改めて考えさせられる現場でもありました。

コメント